「良い加減の投資法」62 -「地中化」編 –

こんにちは、金融・投資 教育コサルタントの須原光生です。

最近、頻繁に大雨・台風・地震などの自然災害がわが国に襲い掛かっています。またその爪痕はすさまじく、広い範囲でライフラインが寸断され、一夜にして思いもよらない生活を強いられた、沢山の人の姿が映し出されるたびに、心が痛む思いでいっぱいです。謹んでお見舞い申し上げます。

私たちの生命線である、電気,ガス,上下水道,電話,交通,通信など、どのライフラインも欠かすことはできませんが、特に全ての生活行動の源である電気が、電柱が倒壊したり、電線が垂れ下がったりした原因などで停電して、不自由で不安な生活を余儀なくされています。今後、できるだけ停電防止のためや、他の効果のためにも、電線「地中化」に注目していきましょう。

電線「地中化」は無電柱化とも呼ばれ、電柱や電線・通信線を地上から撤去し、道路の地下空間を利用して埋設することで、国土交通省の主導で、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催までに主要駅を重点的にして整備が進められています。実は、日本で初めて1928年、兵庫県芦屋市の高級住宅街で知られる六麓荘町にて、景観を良くする狙いで電線「地中化」を導入したようです。

その後も全国各地に広がりを見せましたが、それでも東京23区の電線地中化率は7%、大阪は5%くらいの状況です。因みに、ロンドンやパリ、香港はすでに100%の導入で、街には一切電柱や電線がありません。シンガポール・台北は90%を超え、ソウル46%・ジャカルタ35%と、世界主要都市では電線「地中化」の普及は進んでおり、日本は相当後れを取っている状況です。

電線「地中化」のメリットをまとめてみますと、1.電柱の倒壊、漏電火災、停電防止などの災害に強い。2.街並みがスッキリし景観がよくなる。3.資産価値が向上する。4.歩道の幅が広がり、歩行者の安全空間が増え、運転もしやすくなる。5.情報通信回線の被害を軽減する。6.電柱を使った侵入が防げ、防犯効果がある。7.歴史的・伝統的な街並みが蘇がえり、地域活性化につながるなどがあります。

逆のデメリットをまとめてみますと、1.地上に電線類を配線するのに比べて、地中に埋設すると、電線「地中化」は1kmあたり、約20倍の5億3,000万円もの巨額費用が発生する。2.停電等の不測の事態が生じた場合、地中に埋設された電線のメンテナンスに時間と復旧費用がかかる。3.犯罪防止の監視カメラの設置場所が確保しにくくなる。4.変圧器の設置場所の確保がしにくいなどの問題が挙げられます。

多少デメリットはありますが、良い加減の投資法として、電線「地中化」関連銘柄は、これから息の長いテーマとなり、“投資の景観”が良くなり、投資価値の向上が期待できます。

災害にも強く、“地中海?”のような環境になる、電線「地中化」の設備投資と株式投資は迅速に進めるべきでしょう。「遅い電柱対策は禍有り」の「遅柱禍(ちちゅか)」ですよ!