「良い加減の投資法」63 -「ストロー」編 –

こんにちは、金融・投資 教育コサルタントの須原光生です。

最近、ある動画映像を見て非常に衝撃を受けました。それは、鼻孔に何かが詰まって苦しんでいる、絶滅危惧されているウミガメの姿です。詰まりモノをペンチで何度も引っ張って、流血しながらやっとの思いで抜けると、何とそれはプラスチック製「ストロー」でした。その場面が瞼に焼き付いて今でも消えません。改めて私たちが犯している罪の深さを感じました。

気になって他の悲劇を探しますと、胃の中に80枚のレジ袋やその他のプラスチックごみが詰まって、エサが食べられなくて餓死したクジラ、アザラシの胃から大量のプラスチック破片が出てきたり、網に絡まったウミガメ、魚もイルカもサメも、多くの海洋生物が「ストロー」だけではないプラスチック製品の餌食になり、世界中で命を落としている現実を目の当たりにしました。

プラスチック製品ゴミが海や川に流れ出ると、太陽の紫外線の影響や、波などの衝撃によって細かく砕かれ、最終的には5ミリメートル以下の「マイクロプラスチック」という、有害物質が吸着しやすい粒子にまで細かくなり、餌のプランクトンと間違えて、魚介が飲み込んでしまう事態が生じているようで、回り回って私たちの食生活で摂取していく可能性もあるのです。

実は、ウミガメの映像は数年前から流されていて、それが全世界に拡散され、外国の都市や大企業などが、使い捨てプラスチック製ストローやナイフ、フォーク、スプーンなどのプラスチック製品の使用を禁止する動きや、洗顔料・歯磨き粉・化粧品などに広く用いられている「マイクロビーズ」と呼ばれる、直径が0,5ミリ以下のプラスチック粒子の使用禁止の動きも出ています。

また、日本でもプラスチック製「ストロー」の使用をやめる動きが広がり始めました。「デニーズ」を運営するセブン&アイ・フードシステムズや「ガスト」運営のすかいらーくHD、代替品として紙製に切り替えたヒルトンホテル大阪、検討している日本ケンタッキー・フライド・チキンや大戸屋HD、そのほかのホテルやコーヒーチェーン店などもどんどん増えているのも嬉しい動きです。

投資の世界では、「ESG投資」が世界的に注目されつつあります。環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字を取ったもので、環境問題や人権問題に取り組む企業に投資し、そうでない企業は投資を控える方法です。費用負担等が増える改革に敢えてチャレンジする、上記のような企業群こそが投資対象になります。

また、プラスチック製の代替品で、特殊な加工技術で機能を強化した紙製ストローや、使い回せるアルミストローの技術革新や価格変化の対応をしていく努力企業も注目です。

海洋生物の願いを込めて、プラスチック製全体の中の「ストロー」はごく一部ですが、小さなことからコツコツと、「病巣を取ろう!=巣取ろ(ストロー)」でより良い環境を!

生物の故郷である海を大切に!!