お箸にも「格」があるの?

明けましておめでとうございます。
和ごころコンシェルジュの裏野由美子です。

お正月なので、日経プラスワンはお休みです。

かわりに、今回はお正月に使う「祝い箸」についてお伝えしたいと思います。

 

お箸は365日食事を1日3食とれば1年で1095回使っていることになりますが、
ほとんどの方がお箸について意識することはないと思います。

私のマナー講座や和食の作法講座では、この日本人には切っても切り離せない
お箸の話をよくするのですが、皆さんはお箸にも格があるのをご存知ですか?

 

お箸の格は、「祝い箸、割りばし、塗り箸」の順番です。

昔、大和言葉で日常の食事の事を「ケ」と言い、
お正月などのお祝いごとの事を「ハレ」と言いました。

祝い箸は、「ハレの日」に使うお箸ですので、一番格が上とされています。

また、塗り箸の中にも螺鈿を使ったものや金箔をはった高級なお箸があり
いいお値段がするものもありますが、格でいうと下位に位置づけられています。

理由は、使いまわしが出来るからです。

その点、あなただけの為に用意した、一回限りのお箸ですよ。
という意味で日本人の潔癖性を表した割りばしは塗り箸より
格が上とされています。
また、割りばしの中にも色々な種類がありますが、
それはまた次回お伝えしたいと思います。

祝い箸には、柳の白木が使われます。

何故かというと柳の木は、神の宿る霊木とされ、
強い風に吹かれても折れず、生命力が強く、
春一番に芽吹くので、芽出たい木とされています。

また、祝い箸は両方の先端が細くなっていて、「両口箸」とも呼ばれていますが、
本来、おせち料理は年神様へお供えしたものを下げていただくもで、
箸の一方を神様が使い、他方を人が使って神様と同じ食事を頂き
神の力を取り入れるとされている「神人共食」を意味しています。

決してひっくり返して取り箸などには使わないでくださいね。

 

お正月の祝い箸は、大晦日に家長が箸袋に家族の名前を書き、
神棚に供えておくのが習わしです。

祝い箸は松の内(1月7日まで)は同じ箸を使うとされていますが、
今は三が日ぐらいまでは、清めて(洗って)使いましょう。

 

お箸の国日本と呼ばれるのは、はさむ、つかむ、つまむ、すくう、切るなど
全ての機能を、お箸だけを使って食事をする国が日本だけだからです。

日本人の器用さはこの箸使いから来ているのかもしれませんね。

 

いま、お箸をきちんと使えない人たちがたくさんいますが、
マナーの出来ている人はマナーの出来ていない人に

恥をかかせないように振る舞うのがマナーとされています。

お箸使いが悪いからといって誰も注意をしてくれません。
自分で気づき自分で直すしかないのですが、一度正しい持ち方を学び、
一年1095回正しい持ち方をすれば
きっと、「お箸使いが上手ですね。」と皆さんから言われると思いますよ。

昔のしつけの基本は、「きちんと挨拶が出来ること」、
「きちんと靴をそろえること」、「きちんとお箸を使えること」でした。

なんだそんなことと思われるかもしれませんが、
皆さんは出来ていますか?