がん患者からのお金に関する相談。
できるならば、治療前の治療方針を決定させるタイミングで、今後のお金の見通しを確認できる場を作ることが理想だと考えているが、私が相談員を務めさせてもらっている医療機関での相談会には、治療中の患者からの相談が最も多い。
思うように働けない状況が続いたり、治療費が嵩張ってきたりと、治療が長引くことでの経済的な不安。
「がん=死」ではなく、「がん=共に生きる」病になったからこそ、経済的な不安を抱くことが多くなっているとも感じられる。
こうやって、治療中の患者からの相談が多いのは、相談会を開催しているということが院内で浸透しつつあり、医療スタッフとの連携があるからである。
外来化学療法室で抗がん剤治療を受けながら、入院中に検温しながら、薬局でお金を支払いながら、患者がふと不安を漏らす。
患者が相談しようと思い立たなくても、患者の傍にいる医療スタッフが、患者との会話の中から、心の声の呟きをキャッチし、相談会に繋いでくれている。
さて、前回のコラム『これからいくら治療費がかかるのか?という相談』の続きである。
治療方針が決まったものの
「これから治療費がいくらかかるか心配なんです。見通しが立てられたら助かるんですが…」
という相談に対し、私が患者と医療スタッフと一緒に確認する2つのこと。
それは、加入している健康保険と治療内容とスケジュール。
加入している健康保険の種類によって、受けられる制度や保障は異なり、同じ治療を受けても、今後支払う治療費は大きく違ってくる。
また治療内容が分かれば薬価や保険点数から治療費を概算することは可能であるものの、制度をどう使えるかを知るためには、スケジュールの把握も絶対事項である。
この2つの確認ができれば、ある程度の治療費の見通しが立てられ、患者の漠然とした不安を解消できること、そして更に身体や心などの痛み(トータルペイン)の緩和に繋がることを、私はこれまでの相談で感じてきた。
たった2つの確認は、単純そうだとはいえ、非常に奥が深い。
具体的なノウハウについて、12月10日(日)に開催する東京でのセミナーでもお伝えしようと思う。
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