これからコーディネーター渡辺です。
仏像の話はどうなったの?と聞こえたので元にもどして、
さて吉祥天は手に何を持っているのでしょう?
答え、先が少し尖った玉です。 それでは、これは何?
吉祥天は、元々インドではラクシュミーと呼ばれ古くから吉祥(幸福)を司る女神として信仰されています。
古代神話「乳海撹拌」の渦の中から手に蓮の葉を持って出現し白衣を纏った美貌の女神で、
乳海撹拌を命令した最高神ビシュヌの妃で、愛の神カーマの母だそうです。
~華麗なる一族ですね。
この女神が早い時代に仏教に取り入られて、「徳叉迦」(とくさか)という竜王が父、
「鬼子母神」(きしもじん)が母で、「毘沙門天」の妃となりました。
~あの戦いの神の奥さまです。
日本では、聖武天皇の時代より盛んに信仰され、吉祥天を本尊として罪過を懺悔する
「吉祥侮過」が正月に行われたようです。
~そう言えば、現在も浄瑠璃寺で毎年お正月に吉祥天の厨子の扉が開かれます。
さて持ち物ですが、インドでは四臂で、それぞれの手にシンボルの「蓮」「甘露の瓶」
「ヴィルヴァの実」「法螺貝」を持ち、仏教日本での吉祥天像は、左手に「如意宝珠」を持ち、
右手は施無畏印を結ぶことが多いようです。
~ふむふむ。
で、この如意宝珠とは?
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説では、
「思いどおりに宝を出すといわれる珠のこと。サンスクリット語のチンターマニcintmaiの訳。
いかなる願望も成就し、意のままに、宝や衣服、飲食を出し、病気や苦悩をいやしてくれる
まさに空想上の宝珠であり、また悪を除去し、濁った水を清らかにし、災禍を防ぐ功徳(くどく)が
あると信じられている。」
ブリタニカ国際大百科事典では、
「神秘的な宝玉の名。欲するがまま種々の宝物をつくりだすといわれ,一説に竜王の脳の中にあり,
これを手に入れると,多くの財宝が得られるだけでなく,毒にもおかされず,火にも焼かれないという。」
つまり 「竜王の脳中から出た、あらゆる願いをかなえる珠」
~左手の中指でそっとはさみ、軽やかに持ち上げているように見えるのですが、
す、すごいものなのです。