杉山先生97歳の詩

これからコーディネーター渡辺です。 

人生は予想外に進むことも突然納得のいかないことも起きるようです。

~ 90歳で死ぬと思っていたのにだらだらとその年齢を過ぎてしまって、
じゃ95歳をめざしたらまたこえて、すると、
「だいぶたまりましたね。詩集を出しませんか」と版元にすすめられた ~

と杉山先生はあとがきに書かれた、97歳になった秋(1914年)に
出版された詩集の中の一編です。

「希望」            杉山平一

夕ぐれはしずかに
おそってくるのに
不幸や悲しみの
事件は

列車や電車の
トンネルのように
とつぜん不意に
自分たちを
闇のなかに放り込んでしまうが
我慢していればよいのだ
一点
小さな銀貨のような光が
みるみるぐんぐん
拡がって迎えにくる筈だ

負けるな

杉山平一 「希望」より (編集工房ノア)

詩集の編纂にかかり始めた時に東日本大震災が起ったため、
福島県出身の杉山先生からこれは東北への応援の詩でもありました。

先生とは、私が学生時代になぎなた部を創ったおり、
顧問をして頂いたというご縁があるのですが、
そのなぎなた部の旧友の一人が、今年6月に夫を亡くして以来、
悲しみに沈みずっと家の中で引きこもっています。

彼女にこの詩をおくりたいと思いました。