薬師如来

8、これからコーディネーター渡辺です。

小春日和の今日は透き通るような青空でしたが、先週はとても寒かったですね。
寒暖の差で体調を崩している方はおられませんか?

今回は、病や苦しみを癒し、救うことができるとされる薬師如来の話です。
医王如来とも呼ばれ、東方瑠璃光世界の主だそうです。
吉祥天女は左手に宝珠でしたが、薬師如来の持ち物は「薬壺」です。

ただし、飛鳥や白鳳時代の薬師如来像は何も持たず、
奈良末期の作品からは左掌に薬壺がみられるようになり、
平安時代以降は、坐像でも立像でもほとんど薬壺を持っているようです。

そういえば、奈良薬師寺のは手に何も持っていませんね。
脇侍として日光・月光菩薩が立っています。

『薬師経』には、薬師は菩薩の時に十二の大願をたて、これを成就して如来となったと説かれており、
この大願には、いっさいの病気や患いを除く、飢えた者には食事を与える、
衣服に事欠く者に衣服を与える、など、とても現実的なものです。

来世の極楽往生を説く阿弥陀信仰と対照的。
で、西方(来世)の阿弥陀に対して東方(現世)の薬師という関係で配置されますが、
現世と来世をつなぐはたらきもあって、死者の冥福を祈る造像も見られるそうです。

薬師如来は人々に現世の利益を与える色彩が強く、
病気や今の苦しみを祈ると直ぐ癒して下さる性格のようです。