「良い加減の投資法」⑲‐「タンス預金」編‐

こんにちは、金融・投資 教育コンサルタントの須原光生です。

最近、知人の高齢者女性宅に「銀行内部に犯罪者がいて、あなたが出した紙幣に偽札が混じっている恐れ
があります。調べるために警察官が紙幣を預かりに行きます。」と警察(偽)から電話がありました。

日ごろは「詐欺!」と聞くまでもなく直ぐに電話を切っていましたが、警察(偽)電話の前に「日銀(偽)
です。偽札が出回っています。最近出金されたお金があれば注意してください。」との電話があり、丁度
2,000万円を出金していた直後で、一抹の不安が浮かんだからです。

その状態から警察(偽)電話があり、女性が引き出した紙幣の番号を読み上げさせたうえで「偽札がたく
さん混じっています。機械で調べるので自宅に取りに行き、終わればすぐに返します。」と、しっかり相手
に乗せられた会話をする結果になりました。

電話を切った後、少し冷静になり私に連絡が入り、「それは詐欺や!」と伝え、すぐに警察に電話して自宅
で張り込んでいましたが、犯人は状況を把握したのか、その後訪問や連絡はなく水際で防げました。

皆さんも決して人ごとではなく、言葉巧みな新手の方法で隙を狙っています。特に身内や知人の高齢者への
コミュニケーションを大切にして防犯に努めましょう。

第一生命経済研究所によると、“タンス預金”が3年で3割増の43兆円と増加が止まらず、同時に家庭用金
庫も売れているようです。その原因は、日銀のマイナス金利政策によるゼロに近い利息のためと言えますが
マイナンバー制度の開始で資産を把握されることへの警戒感も根深いと思われます。詐欺、窃盗や火災など
が発生する危険や心配ごとも増える中、ますます現金化への流れが強まっているようです。

以前は上場会社の株券も“タンス株券”が可能で、資産の把握ができ難い状態でしたが、2009年1月5日
から、現物の株券は無効とされ、株主の権利(株主総会での議決権行使、配当金の受け取り等)は、証券保
管振替機構(ほふり)と証券会社などの金融機関の口座で電子的に管理・決済され、事実上株券は無くなり
現在は資産の監視は電子上で十分可能な状態です。

自宅は洋服ダンス・和ダンス・整理ダンスなどは「クロゼット」に変わり、「タンス」は死語に近づいてい
ます。現金も電子決済へとキャッシュレス化が進む中、いずれ「現在の紙幣は使用できません。何かと交換
してください。」と決められた場合、“タンス預金”は崩壊の運命にさらされます。

少しでも未来を見据えて、早いうちから「タンスの肥やし」に終わらさず、“タンス預金のス タンス”は、
正々堂々と資産管理を受け入れる状態に戻し、一部は「株式市場の肥やし」になってほしいものです。特に
投資先は「家具屋」・「インテア」・広く言えば「住宅関係」の会社に投資することが成功に導くのではな
いでしょうか!?