「良い加減の投資法」51-「類似」編 –

こんにちは、金融・投資 教育コサルタントの須原光生です。

最近、「正露丸」を買うように頼まれたので、ドラッグストアに行き、陳列棚を見た瞬間びっくりしました。私は、「正露丸」といえば、大幸薬品の「ラッパのマークの正露丸」を思い浮かべていましたが、目の前には、何種類かの薬品会社と値段が違う「正露丸」表示のある箱が並んでいたのです。皆さんはご存知でしたか?

疑問解消のために調べてみますと、日露戦争中に陸軍で腹痛予防薬としてクレオソート(正露丸の主成分)が用いられ、「ロシアを征伐する万能薬」ということから「征露丸」と名付けられ、「ロシアを征伐した万能薬」となって、多くのメーカーから競い合うように製造販売され、日本独自の国民薬として普及して行きました。第二次世界大戦後は平和的に「正露丸」に統一され、大幸薬品は「正露丸」を商標登録しました。

普通、商標登録された名前は他社が使う事はできないと、大幸薬品は「正露丸」の独占使用権を主張して他社と争いましたが、最高裁判所は「正露丸はあまりに普及し過ぎた普通名詞である」という判決が下されました。商標が普通名詞化してしまうと、他社の使用差し止めができなくなり、多少とも成分量や値段の違いがある、約30種類の「正露丸」の“類似”品が販売されている結果になったようです。

なお、隣の棚には、おなかの脂肪が気になる人コーナーがあり、便秘がちな人に向けた肥満の改善が期待できるダイエット漢方薬、「防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)」が同じように何種類も並んでいました。同じ漢方薬名でも、製薬会社で多少の成分量や値段、ネーミングの違いがあり、ダブルで驚いた次第です。改めて世の中の“類似”品の多さ、選択の難しさと商標登録の権利の重さ、普通名詞化してしまうリスクなどを感じた一日でした。

実は上場会社でも、業種や業務内容・規模などは全く違う、“類似”名会社があります。論より証拠、一字違いで大違いの会社をペアで列記しておきます。

・ 「オークマ:オークワ」 ・ 「コンセック:コンテック」 ・ 「高島:高島屋」
・ 「セイコーホールディングス:セイノーホールディングス」・ 「東リ:東レ」
・ 「タツミ:タツモ」 ・ 「リオン:リケン」 ・ 「日本電波工業:日本電設工業」
・ 「ニチレキ:ニチレイ」 ・ 「朝日工業:朝日工業社」 ・ 「トーセ:トーセイ」
・ 「ヤマザキ:ヤマザワ」 ・ 「ホウライ:ホウスイ」 ・ 「ヤマウ:ヤマウラ」
・ 「サンリツ:サンリオ」 ・ 「マキヤ:マキタ」 ・ 「日本ケミファ:日本ケミコン」

どうです?よく似た会社名でしょう!

株式投資は、多数の上場企業の中から投資対象を絞り込まなければならず、難しく考え過ぎてストレスになることも多々あります。一度、上記の少し気になった“類似”名を「良い加減」に調べてください。

“類似”名同士をペアで投資するのも「成功の路への願い:成路願(せいろがん)」薬の効き目があるかもしれませんよ。