「良い加減の投資法」55 -「もったいない」編 –

こんにちは、金融・投資 教育コサルタントの須原光生です。

皆さんは、物事に妥協せず、とことん追求したり購入したりの、“こだわり” モノとか、行動などはありますか?私の“こだわり”は、社会人になってから、35年くらいの間、ずーっと「D’urbanダーバン」ブランドのスーツを、最低でも1年に夏冬用1着は購入し続けていることです。また、できるだけ長く着たいので大切に保管し、当然、体形を維持するために、食事や運動にも気を遣っています。どうです以外でしょう!

その“こだわり”の弊害は、クローゼットの中は、何十年前のスーツも収納しており、まさに“スーツ満杯”状態で、とうとう廃棄命令が下された次第です。デザインが時代遅れなので今後も絶対に着ない、“クローゼットの肥やし”で不合理とは分かっていますが、「もったいないから捨てにくい心理」が働き、恥ずかしながら、作業は消極的になり、なかなか整理は進まない状態です。皆さんもこのような行動をしていませんか?

一例を挙げますが、不合理と分かっていても「もったいない」行動は意外と行っています。

・食べ放題バイキングや飲み放題で、元を取るための思いから、既に満腹の状態でも、さらに食べてしまったり、無理やり飲んでしまう行動。
・少し冷めてきた恋愛でも、何度もデートをした今までの費やした時間や、誕生日プレゼントなど相手に掛けてきた金額を考えると、別れずにだらだら付き合っていく行動。
・百貨店に買い物に行き、お目当ての商品が見つからなかったが、交通費を使って遠くまで来たからと、必要のないモノまで買って帰る行動。
・全く上達しない習い事を諦めずに辞めないことや、スポーツジムをそのうち行くと、引き落としだけを続けている行動。また、子供は全く行く気がないのに無理やり塾や習い事に通わす行動。
・かなりの期待をして映画を見に行ったが、前半から全く予想に反して面白くなく、不快感は充満していくが、結局最後まで見てしまう行動。

どうです、心当たりはありませんか?お金を掛けたので「もったいない」から廃棄・撤退・中止ができない、このような行為を「サンクコスト効果」と呼ばれています。上記の行動は、家庭の範囲で大きな損害はないですが、回復の見込みがなく、何年も赤字の事業を撤退しない企業、回収の目途がないが多額の費用を掛け続けている公共事業などは、結局多額の損失につながるなど、いずれも「もったいない」は禁物です。

実は、株式投資も最初から長期投資や配当金、優待券狙いであれば話は別ですが、業績が良くなり、値上がりを期待した投資が、予想に反して業績が悪化して株価が下がってしまうと、ますます損の上塗りの可能性があります。ダメな会社はダメと割り切り、できるだけ早く損切りして、別の会社に投資を行なう事も大切です。「サンクコスト効果」に打ち勝つためには「勇気を伴う損切り(廃棄)」が必要です。

“捨てる株”あれば“拾う株”あり、損切り(廃棄)後の投資は、思い切って「廃棄物処理」関連の会社をお勧めします。

今までの「もったいない」行動が、最も「もったいない」だったことを意識しましょう!