「良い加減の投資法」60 -「老朽化」編 –

こんにちは、金融・投資 教育コサルタントの須原光生です。

最近、ある目的地へ行くため、5分くらい近道になるので、いつものように少し狭い県道の橋を渡ろうと車を走らせたら、赤いコーンが立ててあり、通行止めになっていました。えー!と驚きとともに、その後は遠回りを余儀なくされ、時間も掛かり大変不便な状態でした。皆さんはこんな経験はないですか?

いつまで、このような生活が続くのかと、原因と今後の見通しを調べてみると、その橋は建設後60年ぐらいになり、劣化と昨今の異常な大雨も影響したのか、急に橋げたが弱くなり、崩落の危険性が発生したとのことでした。今後、県の予算と費用を鑑み、新しい橋を建設するか、補強するかを協議中とのことで、解決には暫らく時間が掛かりそうです。

なお、このようなことは氷山の一角で、インフラ(産業や社会生活の基盤となる施設)の「老朽化」は日本の大きな問題になっています。1960年代は、日本の高度経済成長期にあたり、道路、橋、トンネル、上下水道、鉄道、港湾、堤防、学校、団地などのインフラが一斉に整備されました。つまり、当時建設された多くのインフラが耐用年数とされる50年を越え、補修か建て替えの時期を迎えているのです。

全国的には、すでにトンネルの天井落下の大事故、上下水道管の破裂事故、道路の陥没、高速道路のコンクリート片の崩落、団地・学校・ビルの外壁がヒビ割れや崩落、鉄道橋梁の劣化問題など、各地で事故が起こったり、危険性が表面化しています。まさに、日本国民は、「高齢化」社会の到来と同時に、インフラの「老朽化」社会の到来を自覚し、対応していく時代になりました。

なお、インフラのメンテナンスには、相当のお金がかかります。まずは点検で使われる資材や人件費、問題が発生したときの業者へ支払う修繕費なども発生します。国土交通省の発表によりますと、2018年度予算で、公共事業費は約5兆8000億円のうち、インフラ関連の維持管理・更新に掛ける費用予算は4472億円と、年々劣化度合は拡大していき、当然費用は一段と膨らむと試算されています。

メンテナンス事業は、一刻でも早期の診断、補修が求められますが、この分野は、単純な人材だけではなく、メンテナンスの技術や経験を持った、技術者が必要であるということで、人手不足に加え、危険が伴う作業なので、労力と時間がかかるのも課題になり、兎角ネガティブになりがちです。しかし、人々が安全に生活していくために必要不可欠は言うまでもなく、“縁の下の力持ち”で神的存在な産業です。

投資先として、長期的に建設関係はもちろんのこと、特に期待されているのが次世代インフラ用ロボット関連です。政府が掲げる成長戦略の中にも同ロボットの活用を掲げており、国土交通省と経済産業省が連携して、開発・導入に力を入れています。

労働力が急がれ「労急化」、労働力の求めに応じられる「労求家」、漏れから救ってくれる「漏救家」、インフラの「老朽化」の担い手であるロボット、その開発企業をしっかり応援していくのが私たちの役目でしょう。

国策には逆らうな!(相場格言)