NIKKEIプラス1から読み解く由美子流うんちくvol-44「左利きの人への配膳は」

和ごころコンシェルジュの裏野 由美子です。

先日の和食のマナー講座で、左ききの方がいらっしゃいました。

その方からの質問で、以前、和食のマナー講座に参加された時、

講師の方から「和食に左利きはないので、右手で食べて言われたのですが、

食べにくくて・・・どうすれば良いですか?」との事でした。

 

 

 

 

 

 

 

そうなんです。左ききの方は箸の上げ下ろしや、

お椀の持ち方など全て反対になるので、とても食べにくいのです。

しかし、持ち慣れない右手でお料理を頂き、ポロポロとこぼしたり、

会話や料理を楽しめなくなるのは、本末転倒です。

 

 

 

和食は、お椀やお皿など、置く位置や向きが決まっているので、

左ききだからといって、置く位置を変更してくれませんが、

私は、左ききの方は、「箸置きを右側に置いて左手で頂いて下さい。」とお答えしています。

 

では、何故、和食に左利きはないと、その講師の方はおっしゃったのか?

とても伝統を重んじる方なのだと思います。

 

 

ちょうど『NIKKEIプラス1マナーの壺』に左利きの人への配膳はという記事が掲載されていました。

お客様が左利きの場合、ご飯やお味噌汁は反対に置いた方が良いですか?

という質問に対して、やめた方が無難との事です。

 

何故なら、日本は左上位の文化だからです。

左大臣の方が右大臣より位が高いように、右より左のほうが格が上とされています。

そして日本人の主食は米なので、ご飯は上位の左側(頂く人から見て左側)に置き、

お味噌汁などは右側に置きます。

 

これを逆にすると「逆さ膳」と言って、亡くなった人にあげる置き方になってしまいます。

またお箸の箸先を右側に向けるのも、同じ理由から本来はしません。

 

ただ、これを知った上で、頂く側が変更するのは自由だと言うことです。

 

私も普段は女将として、提供する側として、左利きの方だからといって、

器の置く位置を変更する事はありませんが、

左利きの常連さんには初めからおしぼりの置く位置や、お箸の向きを変更します。

 

私の講座に参加された左利きの方には、お箸の上げ下ろし、

お椀の持ち方など全てスムーズに「左手」で出来るようにして頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

色々な決まりごとはありますが、何故そうするのか?そのようにしなければならないのかを知ると、

慣れない右手でぎこちなくお椀やお箸を持つより、慣れた左手でスムーズに楽しんでお料理を
頂く姿のほうが美しいですし、周りから見ても気持ちが良いです。

毎回お伝えしておりますが、マナーの基本は、相手への思いやりや心遣いを形で表すことです。

もし、お友達で食事の際に左利きで悩まれている方がいらっしゃれば、大丈夫と安心させてあげてくださいね。