トンチン年金は長生きリスクの救世主?

4月から国民年金の保険料が改定され、16,340円と150円減額されました。
20歳から60歳で日本に在住する方は公的年金に加入する義務がありますが、自営業等が加入する国民年金の保険料の納付率は、昨年9月末データによれば約60%。つまり約40%が滞納しているとのことです。

ご相談者の中にも時々「国民年金に加入するより自分で個人年金保険に入った方がいいんでしょうか?」というような事をおっしゃる方もいます。
結論から言うと、国民年金への加入は義務ですので、「国民年金をやめて」というのはお勧めできません。

しかし、国民年金は民間の個人年金保険と比べてそんなに劣る制度なのでしょうか?

まず、民間の年金保険と国の年金の違いは保障される期間が違います。
個人年金保険は、決まった金額を積み立てて、例えば60歳から80歳まで受け取るという「有期タイプ」の年金です。
これに対して国の年金は「終身タイプ」、つまり死ぬまで年金が受け取れるという安心感があります。

「人生100年時代の長生きリスクを思うと生涯給付が続く安心感は大きいと思いませんか?」
「個人年金保険は公的年金を補完する意味で加入してください」
また「国民年金に加入しない場合、国民年金基金や個人型確定拠出年金等、税制を味方につける資産形成を行うこともできません。」
と、そんなお話をしてご納得いただいていました。

ところが、最近、民間の保険でも終身年金が受け取れる「トンチン年金」が続々と販売され、注目を集めています。
トンチン年金(終身年金)は、亡くなった方が支払った保険料は生存している方の年金原資として残るという仕組みになっていて、「早く亡くなったら損、長生きするほど得をする」という特徴は国民年金と同じです。

そこで国民年金とトンチン年金とではどちらがお得か、払った保険料を回収する年齢で比較すると
●現在販売されているトンチン年金は90歳くらい。平均寿命より少し長生きしたら払った保険料以上に年金を受け取ることができます。
●国民年金は75歳、保険料が全額社会保険料控除になるという所得控除効果も考慮すると税率が低い方では73歳、最高税率の方は69歳とさらに保険料の回収年齢は引き下がります。

このように比較すると同じ終身の保障ですが、国民年金の方がお得感がありますね。

その理由は国民年金の支払い原資には、税金が投入されており、1/2は国庫負担となっているためです。
同じ仕組みをもった終身年金ですが、民間の年金保険は国の年金制度には太刀打ちできないのが現状です。

またそれだけではなく、国民年金は加入中に障害を負った場合は障害年金、亡くなった場合は遺族基礎年金と老後保障だけでなく、障害、死亡の保障も兼ね備えています。

「損得」で考えても国の年金を放棄して民間で備えるのは得策ではないように思います。

そして国は未納者対して強制徴収の強化を図っています。
納得いただいて、気持ちよくご加入いただければと思います。

しなやか希業コンシェルジュ 小谷晴美