お米道楽な日々 ~酒米を食べてみる~

日本酒が好きだという学生から「山田錦を食べてみたい」とリクエストされたことがあった。
「山田錦」は言わずと知れた酒米の王様である。
美味しいお酒ができる米は食べても美味しいのか?を知りたいというのだ。

でも、売っているのを見たことがない。
インターネットで検索すると、販売されていたが高価だった。しかも、「食べても美味しくはありません」と書いてある。送料を払ってまで購入する気にはならなかった。

その後、知り合いの米農家さんから「山田錦」を分けていただくことができた。
「作っているから食べてみたことはあるけれど美味しくはないよ」と話してくださった。

いつも食べている米と同じように炊いてみた。
食べられないような不味いごはんを想像していたが、粒が大きく、良い香りで普通に食べることができた。

酒米は、正式には「醸造用玄米」または「酒造好適米」と呼ばれる日本酒造りのための米である。
食用米に比べ、タンパク質や脂質が少ないらしい。それらの成分は食べて美味しい旨味になるが、お酒になると苦みや雑味になるからのようだ。

酒米を食べてみることは可笑しくて楽しい。
酒米は「美味しくない」ではなく「美味しくはない」と表現される意味がよくわかった。

 

美しい暮らし研究家 あきやまひろみ
お米道楽facebook https://www.facebook.com/okomedouraku/?ref=bookmarks