お雑煮

高校の頃からの友達が「おばちゃんのお雑煮の味が忘れられへん。」と言ってくれるくらい母のお雑煮は美味しかった。
丸もちのすまし汁仕立てで、里芋と半分にしたゆで卵とかまぼこが入っていた。三つ葉を湯がいて結んだものは必須で、甘めの味で少しとろみがある感じが特徴だった。
その味を受け継ぐために、母と過ごした最後のお正月にメモを取りながらしっかり教わったはずなのに、何度チャレンジしてもその味にはならない。

ウチの実家には計量スプーンがなかった。
母に分量を聞くと、「お砂糖ほんのちょっと…」とか「しょうゆをだばだばっと入れて…」など、本人にしかわからない表現で返された。
母のそういうところが好きだったけれど真似しにくい。

お雑煮はもちの形や味付け、入れる具材にいたるまで、地方や家庭ごとに千差万別。
香川では白みそ仕立ての汁にあんころもちが入っているとか、徳島のお雑煮にはおもちが入っていなくて豆腐二丁と里芋だけとか、奈良ではお雑煮のもちにきな粉をつけて食べるとか…。

作る人の持つ食文化や料理の腕の良し悪しが顕著に表れるのがお雑煮かも。

今年は、スーパーで目についた紅白の丸もちを昆布と鰹のだしでシンプルに仕上げた。
買っておいたのに具材を入れなかったのは、面倒だったからではなく、紅白のもちをきれいに見せたかったからだということにしておこう。

 

 

美しい暮らし研究家 あきやまひろみ
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