がんに備えて保険に加入する時の3つのポイント

私はファイナンシャルプランナーの資格を取得して10年以上経つが、これまで保険を販売する仕事はしたことがない。

患者に対して保険販売をされてしまう可能性があることは避けたい医療機関としては、このことが相談員として迎え入れるうえでのチェックポイントになっているようである。

 

とはいえ、がん患者のお金の相談では、民間保険の話にもなる。

 

保険の相談といっても、一般的によくある「どの保険に加入しようか」とか「保険の見直しをしようか」ではない。がんになり、これまで加入してきた保険をようやく使える時がきたけれど、期待していたほどではなく、かえって負担になっているという内容のものも少なくない。

 

ある会社ががん患者に行ったアンケート調査では、がんになった時、加入していた保険に不満を感じた方の割合は全体の約74%。不満だった理由には、古いタイプや保障範囲が狭いことによる保障の不十分さが挙がっている。

 

実際、私のところに舞い込む相談では、

「加入してる保険は入院した時だけで、今の通院の治療では出ないんです」

という声は、本当に多く聞かれる。そして、続けておっしゃる言葉は、

「そのために毎月保険料を支払い続けるのは負担なんですよね…」

放射線や抗がん剤治療で治療費がかさんでいるだけでなく、思うように仕事ができずに収入が減っている家計で、毎月毎月支払わなければならない保険料の何千円かは、健康の時には感じなかった重い負担となる。

 

また、入退院を繰り返しながら治療をされている方から、よく聞かれる声は、

「入院給付金の請求のための書類を主治医の先生に書いてもらうのが負担です。まとめて請求でもいいらしいけど、そうなると保険金が入ってくるのが遅くなるし…」

産労総合研究所が行った医療文書作成業務・文書料金実態調査(2012年)によると、生命保険会社等の所定用紙による「診断書」の全国平均額は4,841円。負担になっているのはお金だけでなく、主治医に書類作成をお願いする煩わしさ、作成してもらった書類を取りに行く身体的なしんどさもある。

 

このように、がん患者の相談員をしていると、がんに対する保険の加入の仕方の良し悪しが見えてくる。

がんになった時に入っていて良かったと感じる保険のポイントは、保険金が入院だけではなく通院治療や生活の補填にもなるもの、がんになった後に保険料の支払いがない(少ない)もの、主治医に書類作成の依頼が頻回とならずに保険請求できるもの、この3つを満たせるものではないだろうか。最近の保険商品には、これらを満たすものがいくつか出ているようである。

 

ほとんどの方が、がんになった時に備え、なんらかの保険に加入していると思われる。あなたが加入している保険が、少なくともがんになった時に負担になるものではありませんように。

 

 

 

 

がんライフアドバイザー® 川崎由華