早期発見、早期治療と言われるけれど

占いの根拠は、どんなデータに基づいているのか?当たる占いの「当たる」とは、どんなことをどんな確率で当てることを言うのだろうか?

そんなことを思う私は、占いを楽しめないつまらない考えをしているのかもしれない。

 

先日、あるテレビ番組で、がんの早期発見、早期治療に繋がるがん検診を特集していた。

その中で、アミノインデックス検査という、がんリスクを調べる検査方法が取り上げられていた。血液中のアミノ酸濃度を調べることで、5~6種類のがんになっている可能性の高さが分かり、各がんになるリスクを3段階で評価する結果が出るという。健康保険は使えず、費用は約2万円。

アミノインデックス検査の結果で高リスクであったとしても、がんである確率は1%前後だそう。そして低リスクであったとしても、必ずしもがんではないとは言い切れないらしい。

研究データに基づく結果であることは間違いないが、失礼ながら、これは当たる占いより当たらない検査ではなかろうか、と思ってしまった。現時点でのこの検査は、占い感覚の楽しむ気持ちで受けることができればいいのかもしれない。占いを楽しめない私には不向きということなんだろうと、自己解釈した。

 

現在、国の指針で定められているがん検診は、肺がん、胃がん、大腸がん、子宮頚がん、乳がんの5つに絞られている。これらは、がん検診を受けることで、がんによる死亡を減らせるという、がん検診の効果が立証されているものである。つまり、放っておけば進行して命を奪う可能性があるがんを、根治可能な時点で早期発見、早期治療をするために、国はがん検診を推奨しているといえる。

がん検診で大切なことは、効果が立証されている検診を、定期的に受診することではないだろうか。

 

また、早期発見、早期治療ができれば、がんになってからの家計の崩れが少なく抑えられる。

治療の種類が少なく短期間で根治できることは、治療費が少なくて済むだけでなく、仕事も継続できることで収入への影響も減らすことができる。

 

毎月約25万円(年収約400万円)の収入を得ている会社員の2人の女性に乳がんが見つかった。Aさんはいわゆる早期発見のステージⅠで見つかり、治療は手術療法とのみで終了。Bさんは少し進行していてステージⅡbで、手術療法後に13ヶ月間の化学療法が必要となった。

AさんとBさんでかかった医療費の差は約60万円。その他、通院費や副作用へのケアの費用などを合わせると、Bさんの支出の方が100万近く多くなった。

また、Aさんは有給休暇を使って手術入院中に会社を休んだだけなので収入に変化はなかったが、Bさんは化学療法の副作用もあって治療期間中は休職した。休職中は健康保険からの傷病手当金を受け取っていたものの、この期間、収入は約200万円近く減った。

人によっては、休職が退職に至るケースもあり、早期発見、早期治療とお金や仕事の問題は大きく繋がっている。

 

しかし、がんを考えていく時に、早期発見、早期治療できることが全てではない、早期治療、早期発見よりも大切なことがあると、私は相談に来られるがん患者から教わってきている。

たとえ早期発見、早期治療でなかったとしても、がんになったことをどう受け止めて、どう生きていくのか、その力を自分が持てるかどうかの方が、がんになった時には大切になる。

 

 

 

がんライフアドバイザー® 川崎由華