働けなくなるリスクへのお金の備え

がんになって働けなくなったら…

住宅ローンの支払いがある。

まだまだお子さんの教育費が必要。

そもそも日々の生活自体のお金が必要。

働いて収入を得ている方、その家族の方であれば、誰もが持つリスクだと思う。

 

最近では、がんになっても働けるって言うじゃないか、治療と仕事の両立の支援があるのではないか、という声を聞こえてきそう。

つい先日の相談でも、治療が第一で大事な仕事を断ろうとされていた方に対し、治療スケジュールを組み直すことで仕事も可能にできたことがあったり、確かに、がんになっても働き続けることはできるし、医療機関も企業、公的機関も専門家などが関わり、その世の中づくりが進められてきている。

 

しかし、現実として働けない体調や事情、心情であるケースも少なくない。やはり、がんになって働けなくなるリスクには、きちんと備えておく方が良いと私は思う。

 

皆さんはこのリスクに対し、どのような備えをされておられるのだろうか?

 

最近、「働けなくなるリスク」という言葉は、保険会社のCMでもよく耳にするようになった。こういったCMにあるような、働けなくなった時に給与のように受け取れる保険への加入が、真っ先に頭に思い浮かぶのではないかと思われる。

あとは、保険での備えでいうと、がん保険のがん診断給付金や、3大疾病保障、住宅ローンのがん団信も備えの1つに挙げられるだろう。

 

これらの保険に加入していないからといって、備えを全くしていないわけではない。

会社員や公務員の方が給与からの天引きで保険料を支払っている、健康保険の傷病手当金や年金保険の障害年金は、働けなくなった時に助けてくれるものである。

 

また、勤務する会社によっては、GLTDという、長期にわたって働けなくなった時の収入の減少を補填する損害保険である団体長期障害所得補償保険に従業員全員が加入していることもある。休職中から出るもの、退職後に出るもの、プランはそれぞれで、どれもがんになった時の働けなくなるリスクに対応できるのだが、保険料を会社が負担してくれている場合もあり、加入していることに気づいていない従業員もたくさんいるのではないかと思う。

 

ちょうど先日、私の夫が勤務する会社から、GLTDの任意加入の募集案内が来た。

夫の会社では、従業員が病気やケガで働けなくなったとしても、最長で40ヶ月の休みが取ることができ、その期間は会社からの傷病支援金や健康保険からの傷病手当金などにより、給与の67~100%の支給を補償している。休職期間を経過しても復職できない場合は、退職となるが、全員が加入しているGLTDにより、36ヶ月間は給与の60%が給付される。

今回の募集案内は、全員加入のGLTDにプラスする形で、補償額や保障期間を上乗せし、60歳まで最大給与の80%が補償される保険に対し、個別での加入を勧めるものであった。

 

要は、夫が勤務する会社の従業員は皆、働けなくなっても76ヶ月、つまり6年ちょっとの期間は、最低でも給与の60%を受け取ることができる。あえて民間の保険に個人的に加入しなくても、現時点で確保できている備えである。

60%では足りない、退職後36ヶ月では足りないと思うならば、個人で加入して備えられるように会社から団体保険を提示してくれているというわけである。

 

会社員、公務員の方であれば、働けなくなった時の収入減少のリスクに対し、健康保険や制度により、現時点で何らかの備えはできている。それをきちんと把握したうえで、不足の部分に対し、個々の家計に応じた備えを検討してほしい。

「がんになってからでは、備えることはできないから」というがん経験者の声は、皆さんの心に響くだろうか。

 

 

 

 

がんライフアドバイザー® 川崎由華