がんになったら払わなくてもいいおカネ、の実際のところ

ある週刊誌で「がんになったら払わなくていいおカネ」といったキャッチフレーズの記事が出た。何人もの方に、知らなかったとか、本当にそうなの?と尋ねられた。このキャッチフレーズは強烈な印象と、期待感を持たせる。

はっきり言うと、「がんになったら払わなくてもいい」の「がんになったら」は正しくない。この言い回しは誤解を与える。

記事を確認すると、世間の人に関心の高いがんという病気をキャッチーで使っているだけで、がんでなくてもいい話である。それに、この記事で紹介されているものは、がんになってもその病状に当てはまらなければ対象でないものがほとんどである。

その病状とは、障害者認定や介護認定を受けているというもの。これらに当てはまるがん患者は一部の方であるから、「がんになったら」という言葉は期待を持たせすぎるキャッチーだと感じる。

ちなみに、がんになって障害者認定を受けるケースとは、直腸がんで肛門を失って人工肛門を造った場合、咽頭がんで咽頭部を摘出して発声できなくなった場合や、骨転移から歩行困難となった場合などである。また、40~64歳までの方で介護認定を受けられるのは、末期だという診断がされた場合であり、がんに罹患したからといって、障害者認定や介護認定を受けられるわけではないのが実際のところである。

障害者認定や介護認定を受け、条件を満たす等級であったなら、この記事にあるようにNHKの受信料や公共料金、自動車税などが割引になる。それは、認定を受けただけではなく、自らその申請をしてこそである。

日本は申請主義。申請するためには、その情報や知識を知らないと申請もできない。せっかく暮らしを助けてくれる制度があっても、知らなければ、その人にとっては無いことと同じである。

この記事を読んだ方が、障害者認定や介護認定を受けたらいろんな助成を受けられることを頭に入れておき、必要な時に必要な人に伝えてくれたらと思う。

がんライフアドバイザー® 川崎由華