治療法は自分で決めます

例年のごとく、この時期はインフルエンザが大流行。

国立感染症研究所のインフルエンザ流行レベルマップを見ると、一週前に比べ報告数は減っているものの、未だに47都道府県全てで警報レベルだそうです。

 

わが家も3週間ほど前、まずは娘が鼻水と咳症状から熱発してきて、小児科で検査を受けるとインフルエンザB型。その時、医師に言われたことは

「インフルエンザは放っておいてもウイルスが落ち着いたら治る病気です。インフルエンザの薬を使えば、早く症状はおさまります。薬を使いますか、使いませんか、どうしますか?」

医師は簡潔に情報を伝え、親である私たちに判断を仰ぎました。早く良くなってほしいから薬を使いたいと言うと、今度は薬の種類の説明と共に、3種類のうちどれを選択するか尋ねられました。

その1週間後に息子が罹患した時も、医師は同じ台詞をおっしゃり、娘の時にその薬を使うと半日も経たずして体が楽になっていた姿を見ていたので、私は息子にも娘と同じ薬をお願いしました。

 

私は医師の話を聞いて、薬代がかかるデメリットより、子供の体調や夫や私の仕事の都合から、1回の薬で早く良くなるというメリットの方が大きいと判断したわけです。

 

がんの治療も最終決定者は患者さんです。

自分で判断しなければいけないことに戸惑う患者さんもいれば、自分で情報をかき集め、医師に逆に提案していく患者さんもいます。

 

私が面談した患者さんの中には、医師から提案された治療を拒否されていた方もいました。というのも、医師が提案する治療法は標準治療といい、5年生存率や延命期間のデータを基に、有効性や安全性が高いとされているものですが、患者さんにとってはそんなデータよりも、もっと大切で優先させたいものがあるからです。

 

悪性リンパ腫のある患者さんは、医師が勧めた入院が必要になる抗がん剤治療ではなく、生きがいの仕事を続けられるよう、通院で受けられる抗がん剤治療にすることを希望しました。

乳がんで肺転移骨転移をしていたある患者さんは、医師から勧められた抗がん剤治療を受けないと決めました。その理由は、限られたお金と命を、治療よりもやりたいことに費やしたいからでした。

耳下腺がんのある患者さんは、術後の自分の姿に不安を拭いきれず、手術を拒否されていました。

 

治療を決めるには、なにぶんにも正しい情報が必要です。

正しい情報は、医師をはじめ看護師、社会福祉士、薬剤師など医療者が持っています。そして医療者は、患者さんが納得して自分で決めた治療が受けられることを目指し、「意思決定支援」という役割も、大切な仕事だと認識されています。

決めきれずにモヤモヤする時には、その引っかかっているところを医療者に話してみると、ストンと胸に落ちることがあるかもしれません。

 

患者さん一人一人が、自分にとって良い治療の選択ができますように。

 

 

がんライフアドバイザー® 川崎由華