赤字の健康保険組合

4月21日、第5期がんライフアドバイザー®養成講座が開講しました。
がんライフアドバイザー®養成講座とは…
がん患者さんやその家族のお金や仕事の悩みごとに耳を傾け、人間関係や命なども考えながら、医療知識を持ってトータルにその患者さんをカウンセリングして応じることができるがんライフアドバイザー®を養成するという、一般社団法人がんライフアドバイザー協会のオリジナルの研修。
医療知識を持ってタイムリーに患者さんに対応できることが重要だと考えているので、対象者は医療従事者、介護従事者に限っています。

2016年の1月に第1期を始めてから2年と少し経ちました。
その間に、新しい治療法が出てきたり、患者さんを取り巻く制度が変わったり、そしてなにより私自身も相談現場で学んだことが増え、養成講座のプログラムは変わらないものの、内容は更新していっています。

第1日目の内容の中で、がん治療にかかるお金という項目があります。
保険診療の場合、先進医療の場合など、いくつかのパターンで治療を受けた時に、どのように治療費がかかってくるのかという、患者さんにとってはとても大切で、話を受ける側は基本的なところとして知っておかねばならない内容です。

そこで出てくるのは高額療養費制度。
簡単に言うと、高額な医療を受けた時には私たちが支払うお金の負担を減らすように、日本の国が定めている制度。その負担額は、受けた医療費の額だけでなく、年齢と収入によって違ってきます。
そして加入している健康保険組合や共済組合によっては、さらに私たちの支払い負担が減るように補助を出してくれるところもあります。

講座の中で、事例を使って、いくつかの健康保険の補助を調べてみました。
1つの医療機関内で1ヶ月の医療費の支払いが25,000円になるように補助が出るところもありました。

私たち加入者にとっては本当にありがたい補助で、このおかげで長期にわたって治療を続けられているがん患者さんもいます。
逆に言えば、健康保険組合が負担する額は大きくなります。
補助のお金ではなく、そもそもの法定給付費という私たちが窓口で支払う額以外の負担をしているので、健康保険を利用して医療を受ける人が増えるとパンクしてしまいます。

先日、健康保険組合の中で、全体の6割ほどのところが運営が赤字になっていると、健康保険組合連合会から発表がありました。
その対策としては保険料を上げて収入を増やすか、補助を出しているところは、その補助を減らしたり無くしたりするか、最終的には健康保険組合を解散せざるを得なくもなるでしょう。

実際、健康保険組合からの補助が減ってしまい、治療途中に支払いの負担が増えた方もいらっしゃいます。
今後の医療費の見通しを立てるためにも、自分が加入している健康保険の状況や動向は、発行される冊子やホームページなどで、随時確認しておくことは必要ですね。

がんライフアドバイザー® 川崎 由華