これからコーディネーターの渡辺です。
心が曇ったり折れそうになったり、深い悲しみに沈みそうになる時があります。
友人と喋り、美味しい物を食べ、音楽を聴いたりして切り替えを図りますが、
どうしても気持ちが晴れない時は、自然の中に身を置きます。
陽のひかり、空の色、雲の動き、木々を抜ける風の音、山の景色、大木のはだ、梢の影、
鳥の声、川のせせらぎ、木の実や小さな花。そういったものに触れると少しずつ安らぎを感じます。
私が住むまちは奈良市の北に隣接していて多くの寺院があります。それらはその昔、
南都の僧が都を離れて瞑想した庵が始まりでした。いにしえより多くの人が同じように
心の清浄を求めて来た場所であることを知ると、苦しみや悲しみを抱えながらもがくのは
自分一人だけでなくたくさんの人と同じ、と立ち上がる力を得る気がします。
さらに、それらの小さな庵がだんだん増えて大きな寺院が造られ、信仰の場として
長い時代を経て大切に守られていますが、それぞれのお寺に個性的で魅力的な仏像があります。
ほとけさまに向かって個性という言葉はそぐわないかもしれません。けれども、
それぞれの仏像の前に座り手を合わせていると、少しづつこうありたいと思う気持ちが湧いてきます。
それを叶えたいという思い、自分のこと、家族のこと、周りの人の事など、
独りでは叶わない様々な願いをそれぞれ仏像の個性が自ずと引き出してくれる気がするのです。
祈りは生きる希望、前に進む力だと思います。いわば、「これから」を考えるベースです。
京都府木津川市で、どの様な仏像とどこで会えるのかコラムで紹介していきたいと思います。
そこで、始まりなら 美女。
幸運・美・富を顕し、福徳豊穣の守護神として崇敬される吉祥天女からにしましょう。
浄瑠璃寺にあるこの吉祥天女の前では年中の罪業を懺悔し、除災招福を祈ります。
木造、像高90.0㎝、鎌倉時代、重要文化財。 中尊の横に安置された厨子に納められており、
「音楽が聴こえてくるような仏像」というのは作詞家の阿木燿子さんの表現です。