自分の余命を知りたいですか?

あなたは自分の余命を知りたいですか?

先日の読売新聞に『余命知りたいが「告知なし」4割…進行がん患者』という見出しの記事が出ていた。読んでみると、厚生労働省の研究班による調査で、抗がん剤治療の中止を伝えられたがん患者に対し、医師とのコミュニケーションに関する質問をしたところ、41%の方が「余命告知を聞きたい意向はあるが、医師から伝えられていなかった」と書かれていた。(調査結果の出所および詳細については読売新聞社に問い合わせ中)

 

以前、余命告知について、何人かの医師とお話させていただいたことがある。

抗がん剤治療の効果が見られなくなった時に、数値や画像をもってその事実を伝えるけれど、こちらから患者に対して余命を言うことは控えるようにしていると、口を揃えておっしゃった。

その理由としては、「命は患者のパワーに左右もされ、余命なんて正確に診断できるものではない」ことや、「余命の見立てが違ったことで責められることは避けたい」こと、「頑張っている患者や家族に対し、心情として言いづらい」ことを挙げてらっしゃった。

 

患者や家族にとって、医師の言葉ほど大きいものはない。きっと医師もそれが分かっているから、余命告知は慎重になるのだろう。また、余命告知をマイナスなことと捉えているから、控えておきたいと思うのだろう。しかし、この調査結果から分かるように、半数以上の患者が余命告知を希望していることを考えると、患者は余命告知を受けることを自分の人生のプラスに変えたいと考えているのではないかと思われる。

 

私がお受けするお金や仕事の相談の場においても、ライフプランやマネープランを考えていくにあたり、医師の余命の見立てが必要になるケースがある。

 

医療機関から応じてもらえたらと連絡をいただき、私が初めてお伺いしたがん患者の相談は、余命告知に関わるものだった。リビングニーズ特約(※)を使って保険金を受け取ろうと請求をしていたが、生命保険会社から保険金がおりないと言われ、お金の目途が立たなくなったという。医師の診断はリビングニーズ特約の条件には合わないものであり、その時点では保険金の受け取りは諦めるしかなかった。

 

医師の余命告知に左右されるリビングニーズ特約をアテにして、マネープランを立てることはない。しかし、リビングニーズ特約で受け取れるお金が、治療の選択肢を増やしたり、家族との思い出づくりなどにも役立てられることから、たとえ余命6ヶ月以内だと告げられることは辛かったとしても、患者にとって生きる力に変わるものとなると、私は感じている。

 

(※)リビングニーズ特約とは、医師から余命が6ヶ月以内と診断された場合に、契約している死亡保険金の一部もしくは全部を生前に受け取れる生命保険の特約

 

 

 

 

がんライフアドバイザー® 川崎 由華