「がんの陰に隠れないで」
ある先生に言われた言葉で心が動き、なりたい自分になるための一つの手段として始められた小林麻央さんのブログを、私も毎日拝読している。
ブログに記されている強い気持ちや、日常生活の何気ない言動を読んで、一人の女性として、母親として、妻として、そして患者として、測り知れないほどのたくさんの方が、共感し、大きな勇気をもらっているだろうと思う。
そしてそのことが、今度は小林麻央さんのパワーに変わればいいなと思う。
小林麻央さんは、ブログの中で
「時間の経過とともに、
癌患者というアイデンティティーが
私の心や生活を大きく
支配してしまっていたことに
気がつきました。」
と自身を分析している。
その分析は的確だと思われる。
というのも、がん患者さんの就労相談に応じていて、まさに「がん患者というアイデンティティ-に支配されている」と感じる方によく出会うから。
「がんだったことは、再就職試験で不利になるのではないか」
「がんのことをどう伝えたらいいのか」
と、がんの治療を終えて、主治医の先生に社会への完全復帰のOKをもらっていても、「自分=がん患者」だという意識が強く、がんを患った自分を卑下してしまっている。
障がいを持った方に対して障がい者雇用枠があるように、採用にがん患者枠という特別枠があるのならば、がん患者というアイデンティティは前に出せばいい。
でも、残念ながら今の世の中、がんを患っていても、健康な人と同じ立場で就職試験を受けることになるのだから、がんであることは、あえて伝えることもない。
もし伝えるのであれば、がんになったからこそ得たもの、得た世界、得た価値観を伝えてこそ、がんを患ったことがプラスに変わる。
それが自分の「がん晴れる道しるべ」であり、間違いなく、健康な人にはない自分の強みになっているのだから。