「良い加減の投資法」52 -「副業」編 –

こんにちは、金融・投資 教育コサルタントの須原光生です。

私の友人から、息子さんが3年前に入社した上場会社が、会社に申請さえすれば「副業」を認めるようになったと聞きました。息子さん曰く、「今後、会社はそれほど給料を上げられないので、給料を補う分は他社でも働いて稼げということではないのか?」と言っているようで、「副業」を非常にネガティブに捉えているようです。皆さんはどう思いますか?

私も組織人の時はそうでしたが、今までは、ほとんどの企業や団体等で「副業」が禁止されている事が当たり前の時代でした。そして、社員や職員は守らなければという文化がありました。しかし、最近は、大手の会社や市役所が「副業」を認めたとの記事も多くなり、時代は大きく変化しています。実は、2018年に入ってからは、「副業」に対する人々の捉え方も大きく変わってきています。

その大きな理由は、厚生労働省によって「モデル就業規則」から「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」いわゆる副業禁止が削除した上で、「労働者は勤務時間外において他の会社等の業務に従事することができる」という規定が新設され、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が提示された事からです。国が前向きに動くことで個人も会社も動き始めているのです。このように、国が率先して「副業」を推していることが、時代到来のきっかけです。

では、「副業」は個人や会社にどんなメリット・デメリットがあるのでしょうか?個人側のメリットは、収入が増える。経験していない仕事ができスキルアップになる。定年や途中退職後も就職先が広がる。社外の人脈が広がるなどです。会社側のメリットは、金銭面や仕事面の不満が緩和し、優秀な人材の流出が阻止できる。就職先の基準になり、人材が集まりやすくなる。社員の人脈や未知の分野の知識や情報の向上が、会社の仕事に反映される期待があるなどです。

一方、個人側のデメリットは、自由な時間が少なくなる。過剰な労働で肉体的・精神的なダメージから本業に影響する。収入増から税金の申告や社会保険へ影響する可能性があるなどです。会社側のデメリットは、社員情報や顧客データはもちろんのこと、本人が持っているスキルも漏えいする。他社へ人材の流出の怖れがある。労働時間の管理が難しく、健康管理ができなくなる。副業先でけがをした場合の労災の保障が問題になるなどがこれからの課題です。

なお、冒頭の息子さんの会社の方針を、本人は非常にネガティブに捉えていましたが、私は「副業」のメリットの方が大きいと感じ、彼の会社は投資対象に充分値すると思っています。その会社名は?その会社も含め、東洋経済「CSR企業総覧(雇用・人材活用編)2018」で129社が掲載されていますので調べてください。(失笑?)

皆さんも「副業」を認める“勇気ある会社”に投資すれば、未来は「ヒト」・「モノ(情報)」・「利益」・「株価」の「幸福が凝固される=福凝」会社になることが期待できることでしょう。