「相談者」ではなく「患者」だから

医師は医療のプロ、看護師は看護のプロとして、その資格とスキルで患者と向き合っている。

 

私はというと、資格としては、ファイナンシャルプランナーとしてのNPO法人日本FP協会認定の国際資格であるCFP®と、国家検定制度による1級ファイナンシャル・プランニング技能士を持っている。

 

これらのFP資格は信頼にはなるだろうが、がん患者のお金の相談を受けるにあたって必須なものではなく、逆に資格があるからといって相談に応じられるとは到底思えない。

 

なぜなら、相談をしに目の前に来ているのは「相談者」ではなく「患者」だから。

 

例えば「これから医療費がいくらかかるか心配なんです。見通しが立てられたら助かるんですが…」と、がん患者からの相談があったとする。

 

いくら高額療養費制度などのお金の制度を知っていても、入院の有無や通院頻度、使う抗がん剤の種類といった今後の治療方針を理解していなければ、見通しを立てられるわけもなく、アドバイスなんてできない。

 

そう考えると、ファイナンシャルプランナーといったお金の相談を受ける専門家であっても、医療者や患者からの医療情報を理解できる程度の知識も求められることが分かる。

 

それに加えて必要だと考えるのは、がん患者の心の理解。

胸がはち切れそうなほどの不安、それでもがんと向き合おうと気持ちを奮い立たせる思いなど、言葉端々から感じ取ってもらっていると感じてこそ、患者は心を開くのではないだろうか。

 

そう考えながら、日々医療情報に目を向け、制度ではなく患者を見て相談を受けることを心がけている私が、今後の医療費の見通しのご相談をどう受けているのか、次回のコラムで書いてみたいと思う。

 

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