「良い加減の投資法」⑮‐「配当利回り」編‐

こんにちは、金融・投資 教育コンサルタントの須原光生です。

日銀によるマイナス金利政策(金融機関が日銀に預ける当座預金は通常利息が付いているが、
一部をマイナスにする政策)が行われて早くも1年が過ぎています。

産業界全体の業績は少し上向いているようですが、先々の不安定さを少しでも盤石にするため
に、食品メーカー・石油元売り・化学・情報産業などなど、あらゆる産業で経営統合・買収・
合併は待ったなしで、日常茶飯事の状況になっています。

特に私の関心度の高い銀行業界は、マイナス金利政策の影響で貸し出し金利が低下し、利ざや
が縮小したことなどから厳しさを増しているようで、その動きからか、メガバンクの系列を超
えた、大阪と兵庫のあの地方銀行と地方銀行と地方銀行の統合の動きあり?と私もあっと驚く
ような材料が出てきました。

今後、馴染みのある上場企業名が変わったり、なくなったりすることもあるので注意が必要です。

ところで、私たちへの影響を改めて確認しますと、ローン金利が驚くほど低く、住宅や車など
の分割購入がしやすくなり、ローンの借り換えも非常に有利になりました。

一方、預金利息はマイナスではないですが、個人向け国債3年・5年・10年とも0.05%、
メガバンクの1年定期で0.010%と限りなくゼロに近づいています。100万円で80円の
利息(20.315%税引き後)で、ATM時間外利用の1回の手数料は108 円です。135
万以上の定期預金でなければ、1年に1回、ATM時間外を利用しただけで利息は完全に「マイ
ナス金利」の計算になります。

こんなゼロに近い利息収入しかない中、「上場企業が株主への配当を増やす」という朗報のニュ
ースがありました。

2016年度の企業業績は2年ぶりに過去最高を更新する見通しで、配当総額は11兆8千億円
と過去最高になり、リーマン・ショックの影響を受けた09年度に比べ倍増するそうです。利益
の伸びに応じて株主への還元を積極的に増やす姿勢が日本企業に定着してきました。

ここで注目する指標は、“配当利回り”です。株価に対する年間の配当金の割合を示す指標で、
「一株当たりの年間配当金 ÷ 現在の株価」で求めます。

たとえば、現在の株価が1,000円で、配当金が年20円の場合、配当利回りは2%(20円
÷1,000円)となります。実は現在年間配当金の予想値が、2%を超えている企業は沢山あり、
東証1部の全上場企業の平均で1.65%になっています。また、株価が下落すると、配当利回り
は逆に上昇するので、下落時は効果抜群です。

今後、金融機関はますます手数料で収入を高める政策を強化していく、つまり預金者へのサービ
スを弱くしていくことが予想できます。しかし、上場企業は反対に、利益を株主へ配当金で還元
する動きは積極的に増やす姿勢です。

どちらの方向が私たちに向けているか、利息収入を増やすお付き合いの仕方をしっかり考えてい
くことが寛容です。

結局、株主重視の会社は株価上昇につながるケースが多く、ダブルの利益を手に入れる近道かも
しれませんよ。