和ごころコンシェルジュの裏野 由美子です。
先日の和食のマナー講座で、左ききの方がいらっしゃいました。
その方からの質問で、以前、和食のマナー講座に参加された時、
講師の方から「和食に左利きはないので、右手で食べて言われたのですが、
食べにくくて・・・どうすれば良いですか?」との事でした。
そうなんです。左ききの方は箸の上げ下ろしや、
お椀の持ち方など全て反対になるので、とても食べにくいのです。
しかし、持ち慣れない右手でお料理を頂き、ポロポロとこぼしたり、
会話や料理を楽しめなくなるのは、本末転倒です。
和食は、お椀やお皿など、置く位置や向きが決まっているので、
左ききだからといって、置く位置を変更してくれませんが、
私は、左ききの方は、「箸置きを右側に置いて左手で頂いて下さい。」とお答えしています。
では、何故、和食に左利きはないと、その講師の方はおっしゃったのか?
とても伝統を重んじる方なのだと思います。
ちょうど『NIKKEIプラス1マナーの壺』に左利きの人への配膳はという記事が掲載されていました。
お客様が左利きの場合、ご飯やお味噌汁は反対に置いた方が良いですか?
という質問に対して、やめた方が無難との事です。
何故なら、日本は左上位の文化だからです。
左大臣の方が右大臣より位が高いように、右より左のほうが格が上とされています。
そして日本人の主食は米なので、ご飯は上位の左側(頂く人から見て左側)に置き、
お味噌汁などは右側に置きます。
これを逆にすると「逆さ膳」と言って、亡くなった人にあげる置き方になってしまいます。
またお箸の箸先を右側に向けるのも、同じ理由から本来はしません。
ただ、これを知った上で、頂く側が変更するのは自由だと言うことです。
私も普段は女将として、提供する側として、左利きの方だからといって、
器の置く位置を変更する事はありませんが、
左利きの常連さんには初めからおしぼりの置く位置や、お箸の向きを変更します。
私の講座に参加された左利きの方には、お箸の上げ下ろし、
お椀の持ち方など全てスムーズに「左手」で出来るようにして頂きました。
」
色々な決まりごとはありますが、何故そうするのか?そのようにしなければならないのかを知ると、
慣れない右手でぎこちなくお椀やお箸を持つより、慣れた左手でスムーズに楽しんでお料理を
頂く姿のほうが美しいですし、周りから見ても気持ちが良いです。
毎回お伝えしておりますが、マナーの基本は、相手への思いやりや心遣いを形で表すことです。
もし、お友達で食事の際に左利きで悩まれている方がいらっしゃれば、大丈夫と安心させてあげてくださいね。