さくらの木の下で

今年の桜もとても美しかった。
ここ数年のなかでは開花が遅めで、雨にも負けず、長くいろいろな表情を楽しませてくれた。

「さくら」の語源は様々な説があるようだが、民俗学的な説によると、「さ」は「サの神様(田の神様)」の意味で、「くら」は神様が座る場所「御座」(みくら)を意味し、このふたつの言葉を合わせて「さくら」になったというものがある。
春になるとサの神様が山から里に下りてきて(さおり)桜の木に宿り、収穫時まで見守っているという言い伝えがあるそうだ。田植えが終わり、サの神様を山にお返しする儀式(さのぼり、さなぶり)を行う地域が今もあるらしい。
また、「さおとめ(早乙女)」、「さなえ(早苗)」、「さつき(皐月)」、「さみだれ(五月雨)」など、「さ」は田植えに関係する接頭語になっているというのも興味深かった。

農業を生活の基盤としていた古代の日本人は、田の神様が宿る桜の木に「さけ」や「さかな」をお供えして豊作を祈り、宴をしたそうだ。
昔は、桜の開花によって農作業の時期を計ることや、咲く様子、散る様子から稲の実りを占う習俗が全国にみられたらしい。

平成29年4月、 満開の桜を愛でながら、稲作の始まりを感じ、実り多い年になることを願った。

 

 

美しい暮らし研究家 あきやまひろみ
お米道楽Facebook  https://www.facebook.com/okomedouraku/