もう少し 吉祥天女

これからコーディネーター渡辺です。

豊穣の秋ですね!

 

幸福の女神吉祥天女は、中国・唐の貴婦人の姿で表されていて

ふくよかなお顔とくっきり眉、宝珠を持ち上げる左腕は太くしっかりしていて、

身近にいる誰かが似ている気がします。

けれども、こちらに向けて施無畏印(せむいいん)という人々を安心させ

恐れを取り除くのを表わすポーズを採る右手のひらはふっくらとして広く、

指先がとても繊細です。

 

アクセサリーも付けて着物は重量感があるのですが、

腰に結んだ紐が垂れ下がり左右対称に安定感があり広がっていき、

風をはらんだような袖のふくらみ、重ね着ファッションの線の重なり、

台座の蓮華の花びらの重なりの彩色などに目を移していると

リズムを感じるようで不思議です。

 

暈繝彩色(うんげんさいしき)という、絵画や工芸、建築などの伝統的な彩色方法で、

色の濃淡の変化でぼかしの効果を得る手法が使われています。

華やかで、紐にまで付けられている模様、ガウンやショール、エプロンドレスのデザイン、

など細かい意匠に魅せられてしまうのでしょうか。

見つめていると幸せな気持ちになってきます。

 

浄瑠璃寺の吉祥天女像は、いま、秋の特別開扉中です。