患者側の立場で

「現在の日本の社会では、がん治療や検査のために2週間に一度程度、病院に通う必要がある場合、働きつづけられる環境だと思いますか?」

一昨日発表された、平成28年11月に内閣府が実施した『がん対策に関する世論調査』によると、「そう思う」と回答した人は27.9%、「そう思わない」と回答した人は64.5%だった。この数字は、2年前の調査結果と変化がない。国の課題として、がん患者の就労支援に取り組んできている中で、数字の変化がないというのは、期待外れの結果であると言えるだろう。

1月15日(日)、私は、東京の築地で開催された『がんと共生社会を目指して~患者が働き続けること、そして企業のダイバーシティー推進のために』というシンポジウムに参加をした。こちらは、企業と患者の双方の立場で、がん治療と仕事の両立の実現のために解決策を話し合うという内容で、社員に対してがん教育をしていくことや、柔軟な働き方ができるような制度づくりなどが提案された。

シンポジウムに参加し、改めて気づいたことがある。

社会全体を考えるのであれば、患者側と企業側のどちら側もないのだろうが、がん患者が自分らしくいられる道しるべが見つけられるよう、がん患者のサポートをするのが役目である私は、100%患者側であるということ。働き続けたい患者が、気持ちよく働き続けられるためのことを考えればいいし、再就職したい患者が、希望の企業に入れるためのことを考えればいい。

ただ、社会や企業のルールがある。守られるべき職場環境もある。空いた穴をカバーする職場の人の思いや、見えない周りの頑張りもある。がん患者をサポートするにあたり、そこは必ず理解しておかなければいけない。患者にも理解してもらわなければならない。

私は職場にがんを伝えた上で休職する患者に対し、自分から定期的に職場に連絡を取ることをアドバイスしている。近況報告とお礼を伝えるコミュニケーションが大切だと。それが職場への配慮であり、職場復帰をスムーズにさせることにも繋がる。

先に書いた内閣府の調査結果に、企業側の改革に取り組むことも一つの手ではあるが、私は患者側の立場で、患者自身の意識改革のサポートを続けていきたいと思う。

私の医療機関内でのお金と仕事の相談業務も、まもなく5年目を迎える。

 

%e3%81%8c%e3%82%93%e3%83%a9%e3%82%a4%e3%83%95%e3%82%a2%e3%83%89%e3%83%90%e3%82%a4%e3%82%b6%e3%83%bc%e7%a9%ba

 

 

 

がんライフアドバイザー® 川崎由華