薬代を安くしたい

「薬代を安くしたい」

 

相談に来られる患者の中には、抗がん剤に、副作用を抑える薬、それにがんに伴って出てきた症状を抑える薬など、治療のための薬代の負担だけで1ヶ月5万円を超える方もいる。何ヶ月も何年もかける長期戦でのがん治療となると、お金の切れ目が命の切れ目ではないかという不安を抱えてしまうのは、当然だと思う。

 

先日もこのような相談があり、利用できる制度や支出の確認をし、加入していた生命保険の見直しや、薬の処方を受ける医療機関をまとめることを提案し、少しは支出を軽減させる「お金の処方箋」を出した。

薬代そのものが安くなれば、患者はもっと安心して治療を受けられるだろうに、と思いながら。

 

とはいえ、簡単に薬価は下がらない。

下がってしまうと、製薬企業が今後の新薬開発のための資金不足となり、医療の進歩を遮ることに繋がりかねない。1つの新薬を創り出すために、20年近い年月と約500億の費用が必要なほど、企業の命をかけてどの企業も必死で取り組んでいることは、私自身、製薬企業で勤務していたので事情も分かる。

 

また、ジェネリック医薬品やバイオシミラーといった、研究開発費がかかってない分、安い値段がつけられている後発医薬品という選択があるのも分かっている。

ただ、これらは先発医薬品と有効成分は同じだが、使用している添加物が違うなど全く同じ薬ではない。そのため、得られる効果や副作用が違ってくるケースも考えられることから、特に抗がん剤など命と向き合いながらの治療薬に使用するかどうかは、医師、薬剤師もかなり慎重になっている。

 

そこで、私が今後に期待したいと思っているのが、オーソライズドジェネリック医薬品。

先発医薬品メーカーが後発医薬品メーカーに特許を与えて開発することによって作られるジェネリック医薬品で、有効成分はもちろん添加物や製造方法まで先発医薬品と全く同じ成分であるが、先発医薬品よりも安い値段がつけられる。現在ではまだ、オーソライズドジェネリック医薬品の抗がん剤は発売されていない。

 

長期にわたって飲み続ける薬であればあるほど、オーソライズドジェネリック医薬品を使うことによる医療費の軽減効果は大きい。

お金の問題で治療を諦めざるを得なかった患者が、このおかげで治療を受けられるのであれば、病気を治すだけでなく、病気と向き合えたことで得られるものも大きく、本来の薬の効果以上の効果を患者にもたらす可能性があると思う。

 

薬の選択は、くれぐれも医師、薬剤師に相談を。

 

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がんライフアドバイザー® 川崎由華