百聞は一見に如かず

ゴールデンウィーク最終日に、田植えの準備真っ最中の滋賀県マキノ町在原へ出かけた。

冬の間は通行止めになるという山道を進むと、静かな集落にたどり着いた。
住んでいるのは18世帯。小学生は2人、乳幼児は1人しかいない。

人よりも獣の方がはるかに多くいそうな場所での田植え準備には、獣害対策の柵を立てる作業もある。田んぼのすぐ傍に仕掛けてある捕獲檻を見たときは、この場所で鹿や猪に遭遇する可能性があることをリアルに感じて怖くなった。

お米は、きれいな水がある場所で作ることが重要と聞く。
人が少なく、冬の積雪が2メートルを超える在原の田んぼには、山からの清らかな雪解け水が注がれる。

在原は、安全で美味しいお米を作れる可能性の高い場所であることは一目瞭然だった。
でも、担い手は高齢者が多いことや、子育て世代には厳しい生活環境であることを目の当たりにし、「いつまで続けられるか」という不安も伝わってきた。
それは、私たちの食卓の未来への不安と直結しているのではないか。

生産者の努力はギリギリのところまで来ているのかもしれない。
消費者が産地の窮状を知り、生産者と直接つながる行動を起こすことは、消費者自身の食への不安解消の早道にならないものだろうか。

美しい暮らし研究家 あきやまひろみ
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